スタッフブログ
胸椎圧迫骨折後リハビリの総合医学
胸椎圧迫骨折後の痛み。
脊椎のリハビリに特化した整形外科や、
メジャーリーガーも治療にやって来る日本でも超有名な整形外科でリハビリを受けたが痛みが改善しない方が来られました。
一般的に、胸椎圧迫骨折は高齢者の方が尻餅を着いて起こす事の多い骨折ですが、
この方はまだ若い方で、スポーツで激しく強打して受傷されていました。
他の医療機関での治療は、
体幹トレーニングと下肢の筋肉を弛める事をしていたとの事。
当院での治療
機能評価:立位前後屈・回旋動作 pain+
(下肢機能障害-、上肢運動制限+)
その他の所見:数ヶ月前から咳が止まらない(脈診:沈細数)
考察:下肢機能に障害が余りなく、上肢の運動機能制限がみられる為、下肢よりも上肢から胸郭の動きを改善させる必要があると考えられる。更に咳が数ヶ月止まらない状態である事から、肺気虚(呼吸機能低下)を起こし、そのせいで上肢機能も障害されているとも考えられる。
治療:アキュスコープ治療→尺沢穴、郄門穴
治療後、後屈と回旋動作改善
※ 尺沢穴は肘にある経穴で、上肢機能を改善させるだけでなく肺気虚(呼吸機能低下)を改善する働きがある。
運動器疾患と言っても、やはり元々の身体のコンディションによって予後が変わります。
今回のように呼吸器の不調が胸椎圧迫骨折後の痛みに関連する事は珍しくありません。
例えば手術の跡が赤く腫れて治り難い人がたまにいますが、これは身体の水分代謝が上手くいっていなかったり、熱が篭っていると起こりやすいです。
もっと言うと食事の影響が大きい。
運動器疾患だからと言って筋肉や骨格だけのアプローチでは改善出来ない事が沢山あります。
内臓や自律神経まで含めて総合的にリハビリを考える必要ありです。
因みにこの方はリハビリトレーニングを頑張り過ぎている点もありました。
スポーツ選手は自分の感覚で軽いリハビリっていうのが一般の感覚と違います。
なのでやり過ぎる傾向があるようです。
単純な事なんですが、実はここで躓いている方がかなり多い。
リハビリ施設でも匙加減が難しいんですね。
でも、実は丁寧に痛みの出方を確認すると、やり過ぎかどうかは分かります。
ポイントをざっくり言うと、トレーニング中に痛みが改善するか悪化してくるかです。
明確に出難い事もあって判断の仕方はコツが要りますが、
要するに動かして改善する痛みは硬さからくるものなので問題無し。
逆に動かして、もしくは動かした後で悪化する痛みは身体が耐えられずに出てくる痛みなのでやり過ぎです。
このやり過ぎってとこで、自分のこれまでトレーニングして来たイメージを物差しにしてしまうと絶対に判断を誤ります。
ココめっちゃ重要です。
ケガした時はもう普通の状態じゃないですからね。
だから自分のこれまでのイメージは当てになりません。その時々の身体の反応を素直に受け止めていくべきです。
結局はそれが最短復帰に繋がる一番の近道です。
以前オリンピック強化選手の治療をした時もそうでした。
万全の体制でリハビリを受けてたけど良くならないから当院に来られたんですが、詳しく話を聞くと一番の問題はやり過ぎでした。
エコーでも確認しましたが、やり過ぎてるので炎症も起こってました。
因みにこの方は、運動量の調整とアキュスコープで治療して無事に回復し、その後テレビにも出ていました。
ざっくり型にはめてリハビリしてもダメですね。
一人一人、その時々で状況は違います。
いつも思いますが、やはり総合的かつ丁寧な治療やリハビリが大切です。