スタッフブログ
股関節の激痛に対する総合医学治療
主訴 右股関節の激痛
本日昼過ぎより少しずつ痛みを感じる
2時間程打合せで座っていたら痛み悪化
タクシーで来院
歩行困難
じっとしていても痛みが強い
ズキズキ刺されるような鋭い痛み
元々腰痛なども無く、これといって負担のかかる事をした覚え無し
【問診】
口渇++(やたらと喉が渇く)
元々お酒が大好きで、昨日ニンニク料理を食べに行きお酒も沢山飲んだ
大小便は出ている
【検査】
機能評価:立位及び腹臥位困難、股関節伸展・内外旋 pain++
触診:股関節熱感+、大腰筋・臀筋緊張亢進、股関節〜臀部圧痛軽度
脈診:一息七至、沈、緊
腹診:右天枢に冷え顕著
舌診:黄苔、苔乾燥、色褪せ、絆嫰
【診断と治療】
症状:右股関節炎
原因:舌診所見から日常的に飲酒多く身体に湿熱を溜め込んでいる事が分かる。今回の発症原因としては前日のニンニク料理(→熱を助長)とお酒によって更に湿熱がキツくなったものと考えられる。
治療:股関節周囲と上巨虚穴(胃腸の熱を漏らす作用)、丘虚穴(股関節の動きを改善させる作用)
養生:熱がキツいので暖める事はせずに、お酒や辛い食べ物、味の濃い食べ物などは控える。
可能であれば薬局でロキソニンを買うなどして服用するようにアドバイス。
【経過】
二診目:翌日
疼痛↓↓、舌診での黄苔かなり色が薄くなる
治療:脾兪、胃兪、豊留、蠡溝
六診目:初診より8日後
昨夜痛み↑↑、寝汗++にて3回着替えた
治療:血海、脊中、蠡溝
八診目:初診より12日後
体温を測ってみたら常時ではないが発熱ありとの事(38度)
寝汗++
※ 改めて悪寒の有無確認すると少しあるような気がするとの事
考察:深夜の発汗と血海穴の反応から熱が深いところに籠っていると考えられるが、症状の経過が思ったほど良くなく、悪寒も軽度ある事から、湿熱+表寒(身体の内側には熱が籠っているが、身体の表面は冷えていて、表面の冷えによって内側の熱がうまく発散出来ない状態)だと判断。
治療:督脈上の経穴(熱を取る)、外関・臨泣(表面の冷えを取る)
九診目:初診より14日後
症状劇的に改善、杖無しで普通に歩ける
治療:督脈上の経穴、外関・臨泣
十診目:初診より16日後
経過良好、発熱-、発汗-、可動域も大きく改善
十三診目にて日常的に支障無くなり治療終了
舌診での黄苔もかなり改善し色が薄くなっている
【考察】
股関節炎の原因は食事による湿熱であるのは間違いないが、舌診での絆嫰や湿潤具合から改めて考えると、やはり湿熱+表寒が合わさって症状が激しくなったと考えられる。
治療でも、表寒を取るために外関・臨泣を加えたところ、一日で劇的に症状が改善して、それまで杖を使っていたのが杖無しで普通に歩けるようになった事からも証明される。
☆ 運動器疾患と言っても、根本的には、内臓・自律神経・気候変化など様々な要因が関わって結果的に運動器の炎症や変形などが起こります。
根本的な原因は何なのか、病態は全身を総合的に判断してどうなのか、
画像や数値だけでは分からない、舌診や脈診、腹診、そして細かく触診したり、問診で関係無さそうな事まで丁寧に確認してこそ正確な判断と治療が出来るものだと改めて実感します。