スタッフブログ
症例:ぎっくり腰(風邪と関連)
ぎっくり腰
50代 女性
初診日:5月23日
昨日から違和感、今朝になって疼痛↑↑、その後、毎日の習慣である朝の入浴(25分湯船にゆっくり浸かる)、
そこから更に疼痛↑↑、歩行困難にてタクシーで来院。
一年前からたまにのぼせる。ここ最近ものぼせ+。口渇++
昨日右太谿(内果後面)の辺りに痛み走る。
観察所見
機能評価
上肢水平外転内転、前後屈、回旋側屈、SLR(下肢挙上)、仰臥位膝屈曲腰部回旋、伏臥位四頭筋伸張にて動作痛++
体表観察
脾兪穴と足三里穴の虚顕著
腹診
心下〜胃土の辺りに邪(みぞおち〜へそ上の辺りに強張り)右天枢(お臍の横)と右大巨(お臍の斜め下、大腰筋触診部)に虚
舌診
紅、舌尖に紅点、うっすらと薄黄苔、裂紋、湿潤、胖嫩(舌の輪郭がボヤけている状態)
脈診
浮気味で緊(実)
動作テスト
側屈回旋→足臨泣穴、太衝穴にて改善
SLR、前屈→大巨穴にて改善
後屈、四頭筋伸張→血海穴にて改善
発症原因
根本的には陰虚(身体の水分が不足している)の体質があり、"のぼせる"のはこのため。1週間程前にのぼせが出たのも暑い日が続き身体が熱せられたためで、その後気温が下がると落ち着いている。
陰虚(水分不足)自体は、生活習慣(長時間の入浴)と年齢に伴うもの(女性は生理周期や妊娠出産、閉経に伴う身体の変化がとても大きい)の両方に原因があると考えられる。
発症原因としては、暑い日が続いた後の急な気温低下、それによって身体表面が冷え固まって起こった症状と考えられます。
証明因子としては、
① 腰に負担のかかった要素なし
② 気象条件(暑い日続く後の急な気温低下)
③ 舌診所見
紅、薄黄苔→熱を反映
舌尖紅点→身体上部方の熱を反映
裂紋→陰虚、つまり体液不足を反映
湿潤、胖嫩(舌の輪郭がボヤけている状態)→表証の判断材料
※ この方は陰虚(体液が少ない)なので本来舌の潤いら少ないはず、それなのに湿潤しているという事はポイント。基本的に表証や風邪のひき始めでは舌に大きく変化表れませんが、少し湿潤するという特徴があります。
④ 脈診
浮・緊→傷寒(身体の表面が冷え固まった状態)に現れる代表的な脈状
⑤ 体表観察
脾兪穴と足三里穴の虚顕著→これは消化機能の低下。体液がうまく作り出せず陰虚や虚熱(身体の水分が不足すると熱に弱く火照りやすい)によるのぼせが出る。
⑥腹診
心下〜胃土の辺りに邪(みぞおち〜へそ上の辺りに強張り)右天枢(お臍の横)と右大巨(お臍の斜め下、大腰筋触診部)に虚→傷寒(葛根湯証)の腹証。
天枢の冷え→患側を反映。
大巨の冷→下焦(下半身)の弱り冷えを反映。
⑥ 動作テスト
足臨泣→表証を反映
太衝、血海→体液(血)の不足を反映
大巨→冷えを反映
治療方針
表証を取り除く(血流を良くして表面の冷えを取る)+陰虚を補う(体液の生成を促す)
治療
アキュスコープ:帯域反射30秒、固定通電10分
通電ポイント:右臨泣、左太衝、右大巨、右血海、腰部反応点
仰臥位腰部回旋、SLR pain↓↓、四頭筋ストレッチ pain↓、上肢水平外転内転 pain-、歩行改善
※ 治療後舌の紅(赤み)が取れ、潤いも少なくなる
養生指導
急性期なので基本的には安静。今晩までは患部の炎症反応(ズキズキする痛みが出る)が残る可能性高いが治癒に必要な身体の反応だと説明。
入浴は控えた方がいいが、汗を流したいならシャワーでサッと流す程度にし(暖める事で炎症を助長する可能性もあるし、これ以上発汗させて水分を失うのは危険)、入浴後は身体を冷やさないように注意。
※ 身体の中で冷えと熱の症状が混在しているため、単純に冷やしたり暖めたりすれば良いわけではない事がポイント。
二診目:5月25日
前回治療後夜はまだ痛みあったが翌日には症状かなり改善。今回は歩いて通院。
観察所見
腹診
心下〜胃土の辺りに邪(みぞおち〜へそ上の辺りに強張り)が緩む
舌診
赤み減少、湿潤と胖嫩とれる
脈診
緊張した脈が緩み、浮いた感じも減少
治療
アキュスコープ:帯域反射30秒、固定通電10分
通電ポイント:右臨泣、左太衝、右申脈、右梁丘、曲池、腰部反応点
日常生活に支障なくなり治療終了